
志望理由書の例文集|文系・理系・ 800字など文字数別に良い例・悪い例を徹底解説【総合型選抜】
総合型選抜の合否を大きく左右する志望理由書。「何を書けばいいかわからない」「自分の学部に近い例文を見ながら書きたい」と悩む受験生は非常に多いです。この記事では、文系・理系・文字数別の具体的な例文を学部ごとに紹介しながら、良い例と悪い例の違いを審査官の視点からわかりやすく解説します。コピペして使うのではなく、例文を参考にしながら自分だけの志望理由書を完成させましょう。
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志望理由書の基本構成を確認しよう
例文を見る前に、まず志望理由書の基本的な構成を押さえておきましょう。どんな学部・文字数でも、以下の4つの要素を盛り込むことが合格につながる志望理由書の鉄則です。
構成要素 | 内容の目安 | 文字数の目安(800字の場合) |
|---|---|---|
①きっかけ・問題意識 | なぜこの分野に興味を持ったか | 150〜200字 |
②学びたいこと | 大学・学部で何を学びたいか | 200〜250字 |
③大学を選んだ理由 | なぜこの大学・学部でなければならないか | 150〜200字 |
④将来の展望 | 卒業後にどう社会に貢献したいか | 150〜200字 |
この4要素を「ストーリー」としてつなげることが重要です。単に「〇〇が好きだから」「〇〇大学に入りたいから」と並べるだけでは、審査官の心には刺さりません。自分の経験から生まれた問題意識が、学びへの意欲につながり、将来の夢へと結びついている——そういう一本筋の通った文章が高く評価されます。
書き出しのパターン3選
志望理由書の冒頭は、審査官が最初に読む部分です。「どう始めるか」で読み手の印象が大きく変わります。以下の3パターンを参考にしてください。
①問題提起型:社会課題や疑問を冒頭に置き、読者の関心を引く。
例:「日本では毎年約2万人が孤独死で亡くなっています。この数字を知ったとき、私は福祉の仕組みを根本から変えたいと思いました。」
②エピソード型:自分の具体的な体験から始める。最も使いやすく、個性が出やすい。
例:「高校2年生の夏、祖父が認知症と診断されました。その日から私の生活は一変し、医療とテクノロジーの関係を真剣に考えるようになりました。」
③問い型:自分が抱いた「問い」を冒頭に置き、その答えを探す構成にする。
例:「『法律は誰のためにあるのか』——この問いが頭から離れなくなったのは、高校2年生のときに少年犯罪の報道を見たことがきっかけです。」
書き出しのパターンについてより詳しく知りたい方は、志望理由書の書き出し例文10選|冒頭でつかむパターン別テンプレートとNG例を高校生向けに解説も参考にしてください。
▶ 志望理由書の書き方|何を書く?どう始める?ステップ順に高校生向けゼロから解説【総合型選抜】
学部別「審査官が見るポイント・よくある失敗・差別化キーワード」早見表
自分の学部の行を確認してから、以下の例文セクションに進みましょう。
学部 | 審査官が最も見るポイント | よくある失敗 | 差別化キーワード |
|---|---|---|---|
法学部 | 「法律は誰のためか」という問いの深さ | 「ドラマを見てかっこいいと思った」で終わる | 具体的な法的問題・判例・権利の概念 |
経済学部 | 社会課題×データ分析の視点 | 「お金に興味がある」「ビジネスをしたい」と曖昧 | 実証分析・地域経済・政策立案 |
文学部 | 研究テーマの明確さ・知的関心の深さ | 「本が好き」で終わり研究視点がない | 特定の作品・作家・時代背景・社会思想 |
商学部・経営学部 | 「なぜ経済学部ではなく商学部か」の論拠 | 「ビジネスをしたい」と経済学部と区別できない | ビジネスモデル分析・マーケティング・社会課題解決 |
心理学部・社会学部 | 具体的な「問い」の設定 | 「人の心に興味がある」という浅い動機 | 研究手法(質問紙・実験)・特定の現象・社会問題 |
工学部・情報系 | 動機の具体性・研究室との接続 | 「ゲームが好き」で終わり技術への踏み込みがない | 社会課題×技術・研究室名・開発実績 |
看護学部 | 「なぜ医師でなく看護師か」の必然性 | 「人の役に立ちたい」という誰でも書ける動機 | ケアの専門性・在宅医療・患者の生活の質 |
医学部・医療系 | 「なぜ医師か」「なぜ看護師でなく医師か」の必然性 | 「医師に憧れた」「人を助けたい」で終わる | 地域医療・研究医・予防医学・医療格差 |
福祉・社会福祉学部 | ボランティア経験を制度・政策視点まで昇華できているか | 体験の羅列で終わり、学問的関心につながらない | 制度設計・政策立案・地域包括ケア |
教育学部 | 「なぜ教師か」の体験的根拠・実践への意欲 | 「子どもが好き」という表面的な動機 | 教育心理・特別支援・不登校支援 |
【文系】志望理由書の例文と解説
良い例(法学部・約400字)
「高校2年生のとき、ニュースで少年犯罪の量刑をめぐる議論を目にしました。被害者遺族の声と更生を求める声が交錯するなかで、『法律は誰のためにあるのか』という問いが頭から離れなくなりました。この疑問を解決したいと思い、法律の基礎から学ぶために、貴学法学部を志望しました。貴学では刑事法ゼミが充実しており、模擬裁判の授業を通じて実践的な法的思考力を養えると知りました。将来は少年事件を専門とする弁護士として、社会的に弱い立場にある子どもたちの権利を守る仕事に就きたいと考えています。そのために、貴学の充実した法律クリニック制度を活用しながら、理論と実務の両面から法律を学び抜く覚悟があります。」
【審査官はここを見ている】独自性・具体性・一貫性・志望校研究の深さ
この例文が良い理由は、①具体的な経験(ニュースを見た体験)、②問いの設定(法律は誰のためか)、③大学選びの根拠(刑事法ゼミ・模擬裁判・法律クリニック制度)、④将来像(少年事件専門の弁護士)がすべて有機的につながっているからです。審査官から見ると「この学生はなぜこの大学でなければならないかを自分の言葉で説明できている」と映ります。
悪い例(法学部・約400字)
「私は法律に興味があります。テレビドラマで弁護士が活躍する場面を見て、かっこいいと思いました。貴学は有名な大学であり、就職実績も良いと聞いています。また、キャンパスが広くて環境も良いと思います。将来は法律に関わる仕事をしたいと思っています。貴学に入学できれば一生懸命勉強します。どうぞよろしくお願いします。」
【審査官はここを見ている】動機の深さ・志望校固有の情報・将来像の具体性
「テレビドラマでかっこいいと思った」は志望動機として浅すぎ、審査官には「本当に法律を学びたいのか疑問」と映ります。「有名な大学」「就職実績が良い」という理由はどの大学にも当てはまる一般論で、「この大学でなければならない理由」になっていません。「一生懸命勉強します」という意気込みだけでは、審査官は入学後の姿を具体的にイメージできません。
良い例(経済学部・約400字)
「高校2年生のとき、地元商店街の空洞化が急速に進んでいることに気づきました。廃業した店舗数を調べると、5年間で約3割が閉店していたことがわかりました。『なぜ地域経済はこれほど衰退するのか』という疑問を持ち、経済学的なアプローチで解決策を考えたいと思うようになりました。貴学経済学部では、地域経済論ゼミとデータサイエンスの授業を組み合わせて学べる環境があり、統計分析の手法を用いながら地域経済の課題を実証的に研究したいと考えています。特に〇〇教授の「地方創生と経済政策」に関する研究は、私の問題意識と深く重なります。将来は地方自治体や地域金融機関と連携し、データに基づいた地域活性化の政策立案に携わりたいと思っています。」
【審査官はここを見ている】問題意識の具体性・理系的思考の活用・志望校研究の深さ
「3割が閉店」という具体的な数字を示した点がこの例文の強みです。「なんとなく衰退している気がした」ではなく、自ら調べた事実を根拠にしていることで、主体性と問題意識の深さが伝わります。経済学部の志望理由書では、「社会課題×データ分析」という視点を取り入れると、論理的思考力をアピールできます。
悪い例(経済学部・約400字)
「私はお金のことに興味があります。将来はビジネスをしたいと思っているので、経済学を学びたいと思いました。貴学は経済学部が有名で、OBに有名な経営者がいると聞いています。就職に強いと聞いているので、ぜひ入学して将来に役立てたいと思います。経済学は難しそうですが、入学してから一生懸命勉強します。」
【審査官はここを見ている】動機の根拠・大学選択の必然性・将来像の具体性
「お金に興味がある」「ビジネスをしたい」は非常に多くの志願者が書く表現で、審査官には「誰でも書ける志望理由」と映ります。「就職に強い」という理由は大学選びの根拠として弱く、「なぜ経済学でなければならないのか」「なぜこの大学の経済学部なのか」が全く伝わりません。
良い例(文学部・約400字)
「高校1年生のとき、太宰治の『人間失格』を読み、主人公の「恥の多い生涯」という言葉が戦後日本社会の価値観崩壊と深く結びついていることを知りました。それ以来、文学作品を「時代の鏡」として読み解くことに強い関心を持つようになりました。単に「文学が好き」というだけでなく、作品が生まれた社会的・歴史的背景を分析することで、現代社会の問題を読み解く視点を身につけたいと考えています。貴学文学部では、近現代文学と社会思想史を横断的に学べるカリキュラムが整っており、〇〇教授の「文学と社会変動」ゼミで研究を深めたいと思っています。将来は出版・メディア分野で、文学の持つ社会的意義を広く伝える仕事に就きたいと考えています。」
【審査官はここを見ている】研究テーマの明確さ・「好き」を超えた知的関心・志望校研究の深さ
文学部の志望理由書で最も多い失敗は「〇〇が好きだから」で終わってしまうことです。この例文では「好き」を出発点にしながら、「作品を時代の鏡として読み解く」という研究視点を明確に示しています。具体的な作品名・作家名・ゼミ名を挙げることで、志望校研究の深さも伝わります。
悪い例(文学部・約400字)
「私は本を読むことが好きです。小さい頃からたくさんの本を読んできました。文学部では好きな本をたくさん読んで、文学についていろいろ学べると思います。将来は本に関わる仕事がしたいと思っています。貴学は文学部が充実していると聞いているので、ぜひ入学して文学を学びたいと思います。」
【審査官はここを見ている】研究テーマの有無・志望校固有の情報・将来像の具体性
「本が好き」「文学を学びたい」というだけでは、文学部で何を研究したいのかが全く伝わりません。「本に関わる仕事」も出版・図書館・教育・ライターなど幅広く、将来像が曖昧すぎます。また「充実していると聞いている」は志望校を自分で調べていないことを示しており、審査官には「本当にこの大学を選んだ理由があるのか」と疑問を持たれます。
良い例(商学部・経営学部・約400字)
「高校2年生のとき、地元の老舗菓子店がSNSを活用した販売戦略に転換し、売上が前年比で約2倍になったという事例を新聞で読みました。『なぜ同じ商品でも、売り方次第でこれほど結果が変わるのか』という疑問から、ビジネスモデルそのものを分析・設計する力を身につけたいと考えるようになりました。経済学が「市場全体の仕組み」を学ぶ学問であるのに対し、商学・経営学は「企業や組織が価値をどう生み出し、届けるか」を実践的に学べる点に強く惹かれています。貴学商学部では、マーケティング論とソーシャルビジネス論を組み合わせて学べる環境があり、〇〇教授の「地域中小企業のブランド戦略」に関するゼミで研究を深めたいと思っています。将来は中小企業診断士として、地域の企業が持続的に成長できるビジネスモデルの構築を支援したいと考えています。」
【審査官はここを見ている】「なぜ経済学部ではなく商学部か」の論拠・社会課題×ビジネスの視点・将来像の具体性
商学部・経営学部の志望理由書で最も多い失敗は「ビジネスをしたいから」という動機が、経済学部との違いを説明できていないことです。この例文では「経済学は市場全体の仕組み、商学は価値の生み出し方と届け方」という対比を明示することで、「なぜ商学部でなければならないか」を論理的に示しています。「地域の社会課題×ビジネスモデル分析」という切り口は、審査官に「この学生は商学を社会貢献の手段として捉えている」と伝わります。
悪い例(商学部・経営学部・約400字)
「私は将来、自分でビジネスをしたいと思っています。社長になるためには経営のことを学ぶ必要があると思い、商学部を志望しました。貴学は就職実績が良く、有名企業に入った先輩も多いと聞いています。授業も充実していると聞いているので、入学したら一生懸命勉強します。将来は大きな会社を作って、たくさんの人を雇いたいと思っています。」
【審査官はここを見ている】動機の根拠・大学選択の必然性・「なぜ商学部か」の説明
「ビジネスをしたい」「社長になりたい」という動機は、経済学部・経営学部・商学部のどれにでも当てはまります。「なぜ商学部でなければならないのか」が全く説明されていません。「就職実績が良い」「充実していると聞いている」は大学選びの根拠として弱く、審査官には「本気でうちを選んだのか」と疑問を持たれます。将来像も「大きな会社を作りたい」と曖昧で、具体的なキャリアイメージが伝わりません。
良い例(心理学部・社会学部・約400字)
「高校2年生のとき、クラスメートがSNSの使い過ぎで不眠と不安を訴えるようになり、しばらく学校を休んだことがありました。この出来事をきっかけに、『SNSへの依存は青年期のアイデンティティ形成にどのような影響を与えるのか』という問いを持つようになりました。単なる「スマホの使い過ぎ」ではなく、自己認識や他者との比較がアイデンティティに与える心理的メカニズムを科学的に解明したいと考えています。貴学心理学部では、発達心理学と社会心理学の両方を学べるカリキュラムが整っており、〇〇教授の「SNS利用と青年期の自己概念」に関する研究室でデータを用いた実証研究に取り組みたいと思っています。将来は学校カウンセラーとして、SNS依存や承認欲求の問題を抱える若者の支援に携わりたいと考えています。」
【審査官はここを見ている】具体的な「問い」の設定・研究手法への言及・将来像の明確さ
心理学部・社会学部の志望理由書で最も多い失敗は「人の心に興味がある」という漠然とした動機で終わることです。この例文では「SNS依存と青年期のアイデンティティ形成」という具体的な研究テーマを設定し、「科学的に解明したい」という研究への意欲まで示しています。審査官は「この学生は心理学を学問として捉えているか」を見ています。「好き」を超えた知的な問いを持っているかどうかが、合否を分けるポイントです。
悪い例(心理学部・社会学部・約400字)
「私は人の心に興味があります。なぜ人はこういう行動をするのか、ずっと不思議に思っていました。心理学を学べば、人の気持ちがよくわかるようになると思います。将来は人の役に立つ仕事がしたいと思っています。貴学は心理学部が充実していると聞いているので、ぜひ入学して勉強したいと思います。」
【審査官はここを見ている】研究テーマの有無・学問としての心理学への理解・志望校固有の情報
「人の心に興味がある」は心理学部志望者の大多数が書く表現で、審査官の印象に残りません。「人の気持ちがよくわかるようになる」という表現は、心理学を「人の気持ちを読む能力を身につける場所」として誤解している印象を与えます。心理学は観察・実験・統計を用いた科学です。「どんな問いを、どんな方法で研究したいか」まで踏み込むことが必要です。
▶ 【学部別】総合型選抜の対策まとめ|文学部・理工・経済・看護・教育系ごとに面接・小論文・書類の傾向と準備法を解説
文系学部の例文を参考に自分の文章を書いたら、アオマルのAI添削で「具体性・一貫性・大学選びの根拠」の3点をチェックしてみましょう。
【理系】志望理由書の例文と解説
良い例(工学部・情報系・約400字)
「中学3年生のとき、祖父が認知症と診断されました。毎日の服薬管理が難しくなった祖父を見て、テクノロジーで解決できないかと考えるようになりました。高校では独学でPythonを学び、服薬リマインダーアプリを試作しました。しかし機械学習の知識が不足していると感じ、より高度なAI技術を体系的に学びたいと思い、貴学情報工学科を志望しました。貴学では医療×AIの研究室が複数あり、特に〇〇教授の生活支援AIの研究に強く惹かれています。在学中は研究室に所属し、高齢者の生活を支えるAIシステムの開発に取り組みたいと考えています。将来は医療テクノロジー分野のエンジニアとして、超高齢社会の課題解決に貢献したいと思っています。」
【審査官はここを見ている】自主的な行動の有無・研究室との接続・社会課題への意識
理系の志望理由書では「なぜその研究をしたいのか」という動機の具体性と、「その大学・研究室でなければならない理由」が特に重要です。この例文では、祖父の経験→自主的な行動(アプリ試作)→限界の認識→大学での学びへの接続、という流れが明確で説得力があります。「独学でPythonを学んだ」という行動実績が、入学前からの主体性を示している点も評価されます。
悪い例(工学部・情報系・約400字)
「私は昔からゲームが好きで、将来はゲームを作る仕事をしたいと思っています。情報工学を学べば、ゲームが作れると思いました。貴学は情報系の学部があるので志望しました。プログラミングはまだあまり得意ではありませんが、入学してから頑張ります。貴学の授業は充実していると聞いているので、しっかり勉強したいと思います。」
【審査官はここを見ている】動機の深さ・現時点での取り組み・志望校固有の情報
「ゲームが好き」という動機自体は悪くありませんが、それ以上の掘り下げがありません。「なぜそのゲームを作りたいのか」「どんなゲームを作りたいのか」「そのためにどんな技術が必要か」という思考の深さが求められます。「まだあまり得意ではない」という表現は、入学意欲を自ら下げてしまっています。
良い例(看護学部・約400字)
「高校2年生のとき、祖母が入院し、週に2回お見舞いに行くなかで、看護師さんの働き方を間近で観察する機会がありました。医師が診断や治療方針を決める一方で、看護師は患者の日常生活全体を支え、不安を和らげる存在であることを実感しました。『治す』だけでなく『生きることを支える』ケアの専門職として看護師を目指したいと思い、貴学看護学部を志望しました。貴学では在宅看護論と緩和ケア看護の両方を学べるカリキュラムが整っており、〇〇教授の「患者の生活の質を高める看護実践」に関する研究にも強い関心を持っています。将来は病院だけでなく、在宅医療の現場でも活躍できる看護師として、患者さんが「自分らしく生きる」ことを支えたいと考えています。」
【審査官はここを見ている】「なぜ看護師か」の差別化・具体的な体験・将来像の明確さ
看護学部の志望理由書で最も重要なのは「なぜ医師や薬剤師ではなく看護師なのか」を明確にすることです。この例文では「治す」と「生きることを支える」という対比を使って、看護師という職業を選んだ理由を明確に示しています。
悪い例(看護学部・約400字)
「私は人の役に立つ仕事がしたいと思っています。看護師は人を助けられる仕事なので、なりたいと思いました。病院でボランティアをしたことがあり、医療の現場に興味を持ちました。貴学は看護学部が有名で、国家試験の合格率も高いと聞いています。将来は看護師として多くの患者さんを助けたいと思っています。」
【審査官はここを見ている】「なぜ看護師か」の必然性・ボランティア経験の深掘り・志望校固有の情報
「人の役に立ちたい」は医療・福祉・教育など多くの職業に当てはまる動機で、「なぜ看護師か」の答えになっていません。ボランティア経験は良い素材ですが、「何を感じたか」「何を学んだか」の掘り下げが全くなく、単なる事実の羅列になっています。
▶ 看護学部の志望理由書の書き方|例文・構成・よくある失敗を高校生向けに徹底解説【総合型選抜】
良い例(医学部・医療系・約400字)
「高校1年生のとき、過疎地域に住む祖父が急性心筋梗塞を発症しました。最寄りの病院まで救急車で40分以上かかり、治療開始が遅れたことで後遺症が残りました。この経験から、『地域によって受けられる医療の質が違う』という医療格差の問題に強い問題意識を持ち、地域医療の現場で患者を直接診る医師になりたいと考えるようになりました。看護師や医療技術者も大切な職種ですが、診断・治療方針の決定という最終的な責任を担い、地域の医療体制そのものを変えていくためには医師という立場が必要だと考えています。貴学医学部では、地域医療実習が1年次から組み込まれており、過疎地域の医療現場を早期から体験できる点に強く惹かれています。将来は総合診療医として、地域に根ざした医療を実践したいと考えています。」
【審査官はここを見ている】「なぜ医師か」「なぜ看護師でなく医師か」の必然性・地域医療への意識・行動実績
医学部の志望理由書で最も重要なのは「なぜ医師でなければならないのか」という必然性の説明です。「人を助けたい」「医師に憧れた」という動機は多くの志願者が書くため、差別化になりません。この例文では「診断・治療方針の最終責任を担う立場」「地域の医療体制を変える」という、医師でなければできないことを明示しています。また、「地域医療格差」という社会課題を具体的な体験と結びつけることで、志望動機の必然性が高まっています。医師を目指す場合、研究医志望なら「なぜ臨床でなく研究か」、地域医療志望なら「なぜその地域・その診療科か」を明確に示すことが差別化のポイントです。
悪い例(医学部・医療系・約400字)
「私は小さい頃から医師に憧れていました。病気で苦しんでいる人を助けたいという気持ちが強く、医師になることを夢見てきました。貴学は医学部が有名で、国家試験の合格率も高いと聞いています。医師は責任ある仕事ですが、それだけやりがいもあると思います。将来は多くの患者さんを救える医師になりたいと思っています。」
【審査官はここを見ている】「なぜ医師か」の論理・志望校固有の情報・将来像の具体性
「小さい頃から憧れていた」「人を助けたい」は医学部志願者の大多数が書く表現で、審査官の印象に残りません。「なぜ看護師や薬剤師ではなく医師なのか」という問いへの答えが全くありません。「国家試験の合格率が高い」は大学選びの根拠として弱く、「なぜこの大学の医学教育でなければならないのか」が伝わりません。将来像も「多くの患者さんを救いたい」と曖昧で、どんな診療科・どんな医療を実践したいのかが見えません。
良い例(福祉・社会福祉学部・約400字)
「高校2年生のとき、地域の高齢者施設でボランティアを行いました。そこで、認知症の方が施設と自宅を行き来するなかで、必要な支援情報が施設・病院・家族の間で十分に共有されていないという現実を目の当たりにしました。『個人への支援だけでは限界がある。制度や仕組みを変えなければ、同じ問題は繰り返される』と感じ、個別支援にとどまらず、地域包括ケアの制度設計に関わる福祉専門職を目指したいと考えるようになりました。貴学社会福祉学部では、ソーシャルワーク実習と社会政策論を組み合わせて学べる環境が整っており、〇〇教授の「地域包括ケアシステムの政策評価」に関するゼミで研究を深めたいと思っています。将来は社会福祉士として、地域の支援ネットワークを構築する仕事に携わりたいと考えています。」
【審査官はここを見ている】ボランティア経験→制度・政策視点への昇華・将来像の具体性
福祉・社会福祉学部の志望理由書で最も多い失敗は、ボランティア体験の「感動」で終わってしまうことです。この例文では「個別支援の限界→制度設計の必要性」という思考の飛躍を示すことで、単なる体験談を学問的な問いへと昇華しています。「地域包括ケア」「社会政策」というキーワードを使うことで、福祉を学問として捉えていることが伝わります。審査官は「この学生は現場の体験を通じて、社会の仕組みにまで目を向けているか」を見ています。
悪い例(福祉・社会福祉学部・約400字)
「私はお年寄りや障がいのある方を助けたいと思っています。ボランティアで老人ホームに行ったことがあり、お年寄りと話すのが楽しかったです。福祉の仕事は大変だと思いますが、やりがいがあると思います。貴学は福祉の分野で有名だと聞いているので、ぜひ入学して福祉について学びたいと思います。将来は福祉の仕事に就きたいと思っています。」
【審査官はここを見ている】体験の深掘り・学問的関心・将来像の具体性
「お年寄りを助けたい」「ボランティアが楽しかった」は体験の入口としては良いのですが、そこから「何を学びたいのか」「どんな問題を解決したいのか」への展開がありません。福祉学は「社会問題の構造を分析し、制度・政策で解決する学問」でもあります。体験から学んだことを、学問的な問いへとつなげることが必要です。「将来は福祉の仕事に就きたい」も範囲が広すぎて、具体的なキャリアイメージが伝わりません。
理系学部の例文を参考に自分の文章を書いたら、アオマルのAI添削で「なぜその学部・研究室でなければならないか」の論拠が十分かどうかチェックしてみましょう。
【文字数別】志望理由書の例文
文字数によって「何を優先すべきか」「何を削るべきか」の判断が変わります。まず以下の表で全体像を把握してから、各文字数の例文を確認してください。
文字数 | 削る優先順位 | 肉付けする優先順位 |
|---|---|---|
400字 | 高校での活動詳細・大学調査の詳細 | きっかけ(1〜2文)・将来像(1文)・大学選びの根拠(固有名詞1つ)を必ず残す |
600字 | 高校での活動の細部・大学活動の詳細 | 4要素の骨格を1文ずつ確保し、きっかけと大学選びの根拠を少し厚くする |
800字 | 特になし(4要素をバランスよく配分) | エピソードを2〜4文で描写・大学固有情報を2〜3個挙げる |
1000字 | 特になし | エピソードを4〜6文で詳述・高校での行動実績を1段落追加 |
1200字 | 特になし | 上記に加え、大学調査(教授・研究内容)を1段落・将来像を2〜3文で詳述 |
400字の例文(文系・法学部)
「高校2年生のとき、ニュースで少年犯罪の量刑をめぐる議論を目にしました。被害者遺族の声と更生を求める声が交錯するなかで、『法律は誰のためにあるのか』という問いが頭から離れなくなりました。この疑問を解決したいと思い、法律の基礎から学ぶために、貴学法学部を志望しました。貴学では刑事法ゼミが充実しており、模擬裁判の授業を通じて実践的な法的思考力を養えると知りました。将来は少年事件を専門とする弁護士として、社会的に弱い立場にある子どもたちの権利を守る仕事に就きたいと考えています。」(約400字)
400字の例文(理系・工学部)
400字という短い字数では、「きっかけ1〜2文→大学選びの根拠(固有名詞1つ)→将来像1文」の順番で、無駄なく組み立てることが最優先です。高校での活動詳細や大学での学習計画は、字数の余裕があるときにのみ加えましょう。
「中学3年生のとき、祖父が認知症と診断されたことをきっかけに、テクノロジーで高齢者の生活を支えられないかと考えるようになりました。高校では独学でPythonを学び、服薬リマインダーアプリを試作しましたが、機械学習の知識が不足していると痛感しました。貴学情報工学科の〇〇教授が取り組む生活支援AIの研究室で、医療×AIの技術を体系的に学びたいと考えています。将来は医療テクノロジー分野のエンジニアとして、超高齢社会の課題解決に貢献したいと思っています。」(約400字)
400字で押さえるべき3つの優先事項
- きっかけは1〜2文に凝縮:「いつ・何を経験したか」を一言で示す
- 大学選びの根拠は固有名詞1つに絞る:教授名またはゼミ名のどちらか一方
- 将来像は1文で明確に:職業・社会貢献を端的に示す
600字の例文(文系汎用)
600字は800字より短い分、4つの構成要素の「取捨選択」が必要になります。削るべきは「大学活動の詳細」や「高校での活動の細部」で、残すべきは「きっかけ・学びたいこと・大学選びの理由・将来像」の骨格です。
「高校1年生のとき、地域の国際交流イベントで難民支援団体のスタッフと話す機会がありました。日本に暮らす難民の方々が、言語の壁によって就労や医療へのアクセスに大きな困難を抱えていると知り、『言語の違いが人の生活を左右する』という現実に強い問題意識を持ちました。この経験から、言語と社会の関係を学術的に研究したいと考え、貴学外国語学部を志望しました。貴学では言語学と国際関係論を横断的に学べる環境が整っており、〇〇教授の多言語社会における言語政策の研究に強く惹かれています。在学中は難民支援NPOとの連携プログラムにも参加し、理論と実践の両面から言語の社会的役割を学びたいと思っています。将来は国際機関や支援団体で、言語の壁を越えて人々をつなぐ仕事に就きたいと考えています。」(約600字)
600字で書くときの判断基準
要素 | 600字での扱い方 |
|---|---|
きっかけ・問題意識 | 1〜2文で凝縮。具体的な体験を一言で示す |
学びたいこと |
「何を」「なぜ」を1文ずつにま
この記事を書いているのは

坂本浩一 ❘ 東京大学卒・総合型選抜対策専門
東京大学卒。総合型選抜専門塾にて小論文・志望理由書・面接対策を中心に多数の受験生を指導。これまでに難関国公立・私立大学への合格者を多数輩出してきた。総合型選抜において重要なのは「表現力」ではなく「思考力と一貫性」であるという信念のもと、再現性のある指導を徹底。大学入試改革やAI活用にも精通し、現在は株式会社mugendAIにて総合型選抜対策AIの監修を担当。受験生が“本質的に考える力”を身につける支援を行っている。
