
志望理由書の書き方|何を書く?どう始める?ステップ順に高校生向けゼロから解説【総合型選抜】
「志望理由書って、何を書けばいいの?」「どこから手をつければいいかわからない…」
総合型選抜に挑戦しようとしている高校生の多くが、最初にぶつかる壁が志望理由書です。白紙のWordファイルを前に、何時間も手が止まってしまった経験がある人もいるのではないでしょうか。
この記事では、志望理由書を初めて書く高校生・保護者の方に向けて、「何を書くか」「どの順番で書くか」「どう表現するか」 を、ステップごとにゼロから解説します。よくある失敗パターン・穴埋めテンプレート・Before/After例文もセットで紹介するので、読み終わったらすぐに書き始められます。
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志望理由書でよくある失敗3つ
まず、多くの受験生が陥りがちな失敗を確認しておきましょう。「やってしまいがちなミス」を知っておくだけで、完成度が大きく変わります。
失敗①「大学のパンフレットの丸写し」になっている
「〇〇大学は少人数教育と実践的カリキュラムが充実しており…」というように、大学の公式サイトやパンフレットに書いてある内容をそのまま書いてしまうケースです。これは「なぜあなたがその大学を選ぶのか」という個人の視点がゼロで、審査担当者には「どの受験生でも書ける内容」と判断されてしまいます。志望理由書は「あなたの物語」を書く書類です。大学の特徴を書くのではなく、「その特徴が自分にとってなぜ必要なのか」を書かなければなりません。
失敗②「将来の夢」だけで終わっている
「私は将来、医師になりたいです。そのために〇〇大学医学部に入学したいです」という書き方も、よく見られる失敗です。夢を書くこと自体は正しいのですが、なぜその夢を持つようになったのか(きっかけ・経験)が抜けていると、説得力がまったく生まれません。審査担当者は「この学生は本当にその夢に向かって動いてきたのか」を確認したいのです。夢だけでなく、その夢につながる自分の経験を必ずセットで書く必要があります。
失敗③「書きたいことを思いついた順に書いている」
構成を考えずに書き始めると、話があちこちに飛んでしまいます。「小学生のとき〜、でも中学では〜、それと大学では〜、ところで将来は〜」という具合に、読んでいる側が「結局何が言いたいの?」と感じてしまう文章になりがちです。志望理由書には読みやすい「型」があります。次のセクションでその型を詳しく説明します。
志望理由書の基本構成|5ブロックの「型」を覚えよう
志望理由書は、以下の5つのブロックで構成するのが最もわかりやすく、審査担当者にも伝わりやすい構成です。
ブロック | 内容 | 目安の分量(800字の場合) |
|---|---|---|
① 結論(将来の目標) | 将来何をしたいか・どんな人になりたいか | 約80字 |
② きっかけ | その目標を持つようになった出来事・体験 | 約150字 |
③ 経験・活動 | 目標に向けて実際に取り組んできたこと | 約200字 |
④ 学びたいこと | この大学・学部でどんなことを学びたいか | 約200字 |
⑤ 将来への接続 | 大学での学びを活かして何をしたいか | 約170字 |
この順番には意味があります。最初に「結論(将来の目標)」を書くことで、審査担当者が「この学生は何を目指しているのか」を最初に把握できます。 そのうえで、きっかけ→経験→学びたいこと→将来という流れが「一本の線」としてつながって見えるのです。
▶ 志望理由書の構成完全ガイド|4段落テンプレートと「なぜこの大学・学部・将来」をつなぐ骨格の作り方【総合型選抜】
穴埋めテンプレートで「型」を体感しよう
構成がわかったら、実際に「穴埋め」形式で自分の内容を当てはめてみましょう。以下のテンプレートを使えば、初めての人でも骨格を作ることができます。
【穴埋めテンプレート】
> 私は将来、〔①将来の目標・職業・社会での役割〕 を実現したいと考えています。
>
> そのように思うようになったのは、〔②きっかけとなった体験・出来事・人物との出会い〕 がきっかけです。この経験を通じて、〔②その経験から感じたこと・気づいたこと〕 と強く感じました。
>
> その後、私は〔③目標に向けて取り組んできた活動・学習・経験〕 に取り組んできました。この活動を通じて、〔③活動から得た学び・気づき・課題意識〕 を学びました。
>
> 貴学の〔④この大学・学部の具体的な特徴・カリキュラム・ゼミ・教授〕 に魅力を感じています。特に、〔④なぜその特徴が自分に必要なのか〕 という理由から、ぜひ貴学で〔④具体的に学びたいこと〕 を深く学びたいと思っています。
>
> 大学での学びを活かし、将来は〔⑤具体的な仕事・活動・社会への貢献〕 を実現することで、〔⑤社会・人・地域にどんな影響を与えたいか〕 に貢献したいと考えています。
このテンプレートの〔 〕の部分を、自分の言葉で埋めていくだけで、志望理由書の骨格が完成します。最初は箇条書きでメモを書いてから、文章に変換していくとスムーズです。
アドミッションポリシーと自分をつなぐ方法
志望理由書で多くの受験生が見落としているのが、アドミッションポリシー(AP)との接続です。アドミッションポリシーとは、大学・学部が「こんな学生に来てほしい」と公表している求める学生像のことです。
総合型選抜では、「この学生はうちの大学が求める人物像に合っているか」が重要な評価基準になります。つまり、志望理由書にはアドミッションポリシーで求められている要素が自然に盛り込まれていることが理想です。
APとの接続の手順は3ステップです。
ステップ1:APを読んで「キーワード」を抽出する
志望校のAPを読み、繰り返し出てくるキーワードや求める人物像をメモします。たとえば「課題解決力」「グローバルな視点」「地域への貢献」などです。
ステップ2:自分の経験・目標とキーワードを照合する
抽出したキーワードに対して、「自分の経験の中でこれに当てはまるものはないか」を探します。完全に一致しなくても、「関連する経験」を探すことがポイントです。
ステップ3:テンプレートの③・④に自然に組み込む
APのキーワードを、先ほどのテンプレートの「経験・活動」や「学びたいこと」のブロックに自然な形で織り込みます。「APに合わせた」という印象ではなく、「自分の経験が自然とAPに合致している」という流れになるのが理想です。
▶ 【総合型選抜】志望理由書を書いたら面接で何を聞かれる?想定質問リストと深掘り対策を高校生向けに解説
Before/After例文で「型」の効果を確認しよう
実際にテンプレートを使う前後でどれだけ文章が変わるか、例文で確認してみましょう。ここでは「教育学部を志望する高校生」を例に挙げます。
Before(よくある失敗パターン)
> 私は将来、小学校の先生になりたいです。〇〇大学教育学部は少人数指導や実習が充実しており、優れた教員を育成してきた実績があります。私はここで教育について学び、子どもたちの役に立てる先生になりたいと思っています。
問題点: 将来の夢は書いてあるが、なぜ先生になりたいのかのきっかけがない。大学の特徴もパンフレットの丸写しに近い。自分の経験が一切登場しない。
After(テンプレートを使った改善版)
> 私は将来、子どもたちの「わかった!」という瞬間を引き出せる小学校教員になりたいと考えています。
>
> そのように思うようになったのは、中学2年生のとき、学校のボランティア活動で近所の小学生に算数を教えた経験がきっかけです。最初は計算ができなかった子が、教え方を変えることで問題を解けるようになった瞬間、「伝え方ひとつで人の理解が変わる」と強く感じました。
>
> この経験から、高校では教育ボランティアサークルに参加し、延べ30名以上の小学生に学習支援を行いました。活動を通じて、子ども一人ひとりの理解度に合わせた「個別最適な指導法」の重要性を実感しました。
>
> 貴学教育学部では、1年次から附属小学校での観察実習が行われる点に強く惹かれています。特に、理論と実践を往復しながら学べる環境が、私が課題に感じている「現場で使える指導力」を身につけるために必要だと考えています。
>
> 大学での学びを活かし、将来は特別な支援が必要な子どもにも対応できる教員として、すべての子どもが「学ぶことは楽しい」と感じられる教室をつくることに貢献したいと考えています。
改善点: きっかけ(ボランティア体験)→経験(サークル活動・30名という数字)→学びたいこと(実習制度への言及)→将来(インクルーシブ教育への貢献)が一本の線でつながっています。
▶ 【学部別】総合型選抜の志望理由書の例文|文学部・経済・看護・教育・理工系ごとに使えるモデル文と注意点を解説
書き出しの一文で審査担当者の心をつかむコツ
Before/Afterの例文で気づいた人もいるかもしれませんが、書き出しの一文はとても重要です。 審査担当者は何百枚もの志望理由書を読みます。最初の一文が「私は将来〇〇になりたいです」という平凡な書き出しだと、印象に残りにくくなってしまいます。
書き出しを工夫するポイントは以下の3つです。
① 具体的な場面・数字を入れる
「延べ30名の小学生に学習支援を行った経験から、私は〜」のように、具体的な数字や場面を冒頭に置くと、読み手の興味を引きやすくなります。
② 問いかけ・気づきから始める
「なぜ、同じ説明を聞いても理解できる子とできない子がいるのか。この疑問が、私の教育への関心の出発点です。」のように、問いや気づきから始める方法も効果的です。
③ 将来像を具体的に描く
「子どもたちの『わかった!』という瞬間を引き出せる教員になりたい」のように、漠然とした夢ではなく、具体的な場面・役割として表現すると、独自性が生まれます。
▶ 【総合型選抜】志望理由書の書き出し・最初の一文の書き方|冒頭でつかむ例文とコツを高校生向けに解説
志望理由書に使ってはいけないNG表現
構成と内容が整ったら、最後に表現のチェックをしましょう。以下のような表現は、審査担当者に「浅い」「使い回し」と判断されやすいため、注意が必要です。
NGワード・表現 | 問題点 | 言い換え例 |
|---|---|---|
「貴学の充実した設備」 | 具体性がなく、どの大学にも使える | 「貴学の〇〇実験室での実習制度」 |
「グローバルな人材になりたい」 | 抽象的すぎて何も伝わらない | 「〇〇語で現地の医療現場に立てる人材になりたい」 |
「先生に憧れて」 | 理由が浅く、誰でも書ける | 「〇〇先生の授業で〜を学び、自分も〜と感じたから」 |
「御校の教育方針に共感しました」 | どの方針か不明 | 「貴学のAPにある『〇〇』という考え方が〜」 |
「一生懸命頑張ります」 | 抽象的・意気込みだけ | 「〇〇ゼミで△△の研究に取り組みたい」 |
▶ 志望理由書で使ってはいけないNGワード・ありきたり表現一覧|よくある失敗パターンと言い換え例を高校生向けに解説
自己分析が志望理由書の「土台」になる
ここまで読んで「きっかけや経験が思い浮かばない…」と感じた人もいるかもしれません。そういう場合は、自己分析が不足しているサインです。
志望理由書の内容は、自己分析から生まれます。「なぜその大学に行きたいのか」「なぜその夢を持ったのか」を掘り下げるためには、自分の過去の経験・価値観・強みを整理する作業が必要です。
自己分析の基本は「なぜ?」を5回繰り返すことです。たとえば「教員になりたい」という夢があるなら、「なぜ教員になりたいの?」→「子どもが好きだから」→「なぜ子どもが好きなの?」→「教えることで変化が見えるのが嬉しいから」→「なぜ変化を見ることが嬉しいの?」という具合に深掘りしていくと、志望理由書に書ける「本音のきっかけ」が見えてきます。
▶ 【総合型選抜】自己分析のやり方完全ステップガイド|高校生が「何から始めるか」迷わないフレームワークと価値観の見つけ方を徹底解説
まとめ|志望理由書は「型」と「自分の経験」の掛け合わせで完成する
この記事で解説した内容を整理します。
- よくある失敗は「大学の説明の丸写し」「夢だけで経験がない」「構成がバラバラ」の3つ
- 基本構成は「結論→きっかけ→経験→学びたいこと→将来」の5ブロック
- 穴埋めテンプレートに自分の言葉を当てはめれば骨格が作れる
- アドミッションポリシーのキーワードを経験・学びたいことに自然に組み込む
- 書き出しは具体的な場面・数字・問いかけで印象を変える
- NG表現を避け、具体的な言葉で自分だけの文章を作る
- 自己分析が不十分だと、きっかけや経験が出てこない
志望理由書は「才能がある人だけが書ける特別な文章」ではありません。正しい型を使って、自分の経験を丁寧に言葉にすれば、誰でも審査担当者に伝わる文章が書けます。まずはテンプレートの〔 〕を埋めることから始めてみてください。
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この記事を書いているのは

藤堂誠 ❘ 総合型選抜対策専門塾講師
大学での入試・教育評価に関する知見をもとに、総合型選抜・学校推薦型選抜の対策を監修。志望理由書・小論文・面接において、大学側が重視する「学びへの意欲」「探究の一貫性」「将来像との接続」を踏まえた指導を行う。現在は株式会社mugendAIにて、受験生が自分の経験や関心を大学に伝わる形で整理できるよう、総合型選抜対策コンテンツの監修を担当している。