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子どもの志望校が決まらないときの親の関わり方|聞き方・NGな言葉・決める時期

藤堂誠 ❘ 総合型選抜対策専門塾講師|

結論から言うと、総合型選抜を考えているお子さんの志望校は、高3の夏(6〜8月)に出願校を3〜4校まで絞れていれば間に合います。高2のうちは大学名が決まっていなくても心配いりません。親がすることは、大学を決めてあげることではなく、決まらない原因を一緒に見つけ、本人が選べるように質問と情報で支えることです。

「まだ志望校が決まらない」と聞くと、つい「早く決めなさい」と言いたくなるものです。ただ、総合型選抜は志望理由書や面接で「なぜこの大学なのか」を本人の言葉で語る入試なので、親が決めた大学では準備がうまく進みません。親の関わり方しだいで、お子さんが自分で選べるかどうかが変わります。

この記事では、保護者の方に向けて、志望校をいつまでに決めればいいか、決まらない原因の4つのパターン、親がかけるとよい質問例、言ってはいけない言葉と言い換え、親子で一緒に探すときの手順をまとめます。判断軸や受ける校数など、志望校の選び方そのものは生徒向けの記事で詳しく解説しています。

▶ 総合型選抜の志望校の選び方・決め方|高校の偏差値は関係ある?5つの判断軸

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志望校はいつまでに決めればいい?親が知っておきたい時期の目安

出願校は、高3の4〜5月に候補を5〜8校に広げ、高3の夏(6〜8月)に3〜4校まで絞るのが目安です。高2のうちは「どんな分野を学びたいか」の方向性があれば十分です。

総合型選抜は9月から出願が始まる大学も多く、志望理由書は大学ごとに書き分ける必要があります。夏休みに志望理由書を書く時間を取るには、夏休みに入る前に候補が決まっているのが理想です。逆に言えば、高2の段階で「まだ決まらない」のはごく普通のことです。

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時期

お子さんの状態の目安

親ができること

高1〜高2の夏

興味のある分野を探している

好きなことや気になるニュースの話を聞く。大学名の話は急がない

高2の秋〜冬

学びたい分野の方向性を持ち始める

秋のオープンキャンパスの日程を一緒に調べる。送迎や同行の相談に乗る

高3の4〜5月

候補を5〜8校に広げる

通学・一人暮らし・費用など、家庭の条件を伝える。出願条件の確認を手伝う

高3の6〜8月

出願校を3〜4校に絞る

夏のオープンキャンパスの予定を確保する。志望理由書を書く時間をつくる

高3の9月以降

出願・選考

検定料の支払いや書類の郵送など、手続きを手伝う

出願期間や試験日、合格発表日は大学・年度によって異なります。月ごとの日程の目安は、こちらの記事にまとめています。

▶ 【2027年度版】総合型選抜の日程|合格発表日はいつ?出願〜入学手続の時期一覧

志望校が決まらない原因は4パターン

志望校が決まらない理由は、たいてい「やりたいことがわからない」「候補が多すぎて絞れない」「評定や実績が足りるか不安」「親や周りに遠慮している」の4つのどれかです。原因によって親の関わり方が変わるので、まずどれに近いかを見極めましょう。

パターン1:やりたいことがわからない

「別にない」「どこでもいい」という返事が多いときは、このパターンです。興味がないのではなく、自分の興味を言葉にできていないだけのことがほとんどです。大学名や学部名から考えさせるのはいったんやめて、好きなこと・時間を忘れて取り組んだこと・腹が立ったニュースなど、本人の経験から話を聞くところから始めましょう。自己分析に親が協力する方法は、こちらの記事で紹介しています。

▶ 総合型選抜の自己分析で親を活用しよう|聞くべき質問例と関わり方を解説

パターン2:候補が多すぎて絞れない

パンフレットをたくさん集めているのに決めきれない場合は、比べる基準がないことが原因です。出願条件(評定・共通テスト・資格)と日程で「出願できない大学」を先に外し、残った大学の中で「面接で『なぜこの大学か』を話せるか」で比べると絞りやすくなります。親は「どこがいいと思う?」と聞くより、「この2校の一番の違いは何?」と比べる手伝いをするのが効果的です。

パターン3:評定や実績が足りるか不安

「どうせ無理」「自分には何もない」と口にするときは、自信のなさが選ぶことを止めています。評定の基準がない選考区分や、資格・活動実績で出願できる区分もあるので、評定だけで候補から外さないよう声をかけてください。出願条件は大学・年度で変わるため、最新の募集要項で一緒に確かめるのが確実です。

パターン4:親や周りの期待に遠慮している

「お母さん(お父さん)はどこがいいと思う?」と何度も聞いてくる、親の反応を見てから答える、といった様子があれば、本人の中に希望があっても言い出せていない可能性があります。この場合は、親の希望をいったん脇に置き、「どこを選んでも応援する」と伝えることが一番の後押しになります。ただし、通学できる範囲や一人暮らしの可否、費用の上限など、家庭として譲れない条件は先に具体的に伝えておきましょう。条件を伝えるのは親、その中から選ぶのは本人、と分けて考えるとうまくいきます。

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パターン

よく出る言葉・様子

親の関わり方

やりたいことがわからない

「別にない」「どこでもいい」

大学名ではなく、好きなこと・経験から話を聞く

候補が多すぎる

パンフレットは多いのに決めきれない

出願条件と日程で外し、残りを比べる手伝いをする

条件が足りるか不安

「どうせ無理」「何もない」

評定基準のない区分なども含めて、募集要項を一緒に確かめる

周りに遠慮している

「親はどこがいいと思う?」

家庭の条件だけ伝え、その中で本人の希望を聞く

親がかけるとよい質問例

質問は「どこの大学に行きたいの?」ではなく、「最近おもしろかったことは?」「どんな4年間にしたい?」のように答えやすい問いから始めるのがコツです。一度に答えを求めず、食事や移動の時間に1〜2問ずつ聞いてみてください。

興味を引き出す質問

  • 「最近、時間を忘れてやっていたことってある?」
  • 「授業や探究で、もう少し知りたいと思ったテーマはある?」
  • 「ニュースを見ていて、なんとかしたいと思ったことはある?」
  • 「小さいころ好きだったことで、今も続いていることは何だと思う?」
  • 「人から頼まれたり、ほめられたりすることが多いのはどんなこと?」

大学生活をイメージする質問

  • 「大学の4年間で、どんなことができたらうれしい?」
  • 「少人数でじっくり学ぶのと、大きな大学でいろいろな人に会うのと、どっちが合いそう?」
  • 「大学を出たあと、どんな場所で働いているイメージがある?」
  • 「オープンキャンパスに行くなら、どの分野をのぞいてみたい?」

条件を整理する質問

  • 「家から通いたい?一人暮らしもしてみたい?」
  • 「共通テストを受けるつもりはある?」
  • 「総合型選抜と学校推薦型選抜、どっちで受けたいか考えたことはある?」
  • 「今の候補の中で、絶対に外したくない大学はある?」

聞き方のコツ

  • 答えをすぐに評価しない。「いいね」「それは無理じゃない?」より、「そうなんだ、もう少し聞かせて」と続きを促す
  • 「なんで?」を何度も重ねない。問い詰められている感覚になりやすいので、「どのあたりがおもしろかった?」と言い換える
  • すぐに答えが出なくても待つ。「また今度教えて」で終わってかまいません
  • 聞いた話は簡単にメモして、本人に渡す。自己分析や志望理由書の材料になります

親子の対話で出てきた言葉は、そのまま志望理由書や面接の素材になります。自己分析を進めるときの質問例は、こちらも参考にしてください。

▶ 【総合型選抜】自己分析のやり方完全ステップガイド|高校生が「何から始めるか」迷わないフレームワークと価値観の見つけ方を徹底解説

言ってはいけない言葉と言い換え

避けたいのは、迷っていることを責める言葉、親の希望を押しつける言葉、ほかの子と比べる言葉の3つです。よく出てしまう言葉と、言い換えの例を表にまとめました。

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言ってしまいがちな言葉

避けたい理由

言い換えの例

「まだ決まってないの?」

責められていると感じ、相談しにくくなる

「今どのあたりで迷ってる?」

「○○大学にしなさい」

本人が「なぜこの大学か」を語れなくなる

「○○大学も候補に入れてみたらどうかな。どう思う?」

「そんな学部で就職できるの?」

興味そのものを否定してしまう

「その学部だと、どんなことが学べるの?」

「○○ちゃんはもう決めたって」

比べられることで自信をなくす

「あなたのペースで大丈夫。期限だけ一緒に決めよう」

「どこでもいいから早く決めて」

「ここで学びたい」という動機が育たない

「『ここで学びたい』と思える大学が見つかるといいね」

「どうせ受からないでしょ」

挑戦する前にあきらめてしまう

「出願条件を一緒に確認してみようか」

親が希望を伝えること自体がいけないわけではありません。費用や通学の条件、親として心配なことは、早めに理由と一緒に伝えたほうが、お子さんも現実的に考えられます。大切なのは「伝える」と「決める」を分け、最終的な決断は本人に任せることです。保護者のNG行動については、こちらの記事で詳しく解説しています。

▶ 総合型選抜で親(保護者)がやること|高1〜高3の時期別サポートとNG行動

親子で一緒に志望校を探すときの5つの手順

一緒に探すときは、家庭の条件を共有する→興味のあるテーマを出す→条件で候補を出す→オープンキャンパスで確かめる→期限を決めて本人が選ぶの順に進めると、親が決めてしまわずに済みます。

手順1:家庭の条件を先に共有する

通学できる範囲、一人暮らしの可否、国公立か私立か、受験にかけられる費用の目安など、家庭として決まっている条件を最初に伝えます。総合型選抜では、検定料のほかに、合格後すぐに入学金の支払いが必要になることがあります。金額や手続の期限は大学・年度で異なるので、候補が出たら募集要項で確認しましょう。対策にかかる費用の考え方は、こちらの記事にまとめています。

▶ 総合型選抜の費用は総額いくら?受験料・入学金・塾代の相場と抑え方

手順2:興味のあるテーマを2〜3つ出してもらう

いきなり1つに決めなくてかまいません。「法」「国際」「教育」のように、近いテーマを2〜3つ挙げてもらえば十分です。テーマが出てこないときは、上の質問例を使って、好きなことや経験から一緒に考えてみてください。

手順3:条件を入れて候補を出す

テーマと家庭の条件が出そろったら、それに合う大学・学部を探します。ここで役立つのが、アオマルの「志望校を見つける」です。テーマ(3つまで)・地域・評定・共通テストの要否・資格の要否・入試方式(総合型選抜・学校推薦型選抜・一般選抜など)を入れると、条件に合う大学・学部がおすすめとして表示され、気になる大学は「気になる」に保存できます。志望校が決まっていない段階でも使え、テーマに迷うときは自己分析から探すこともできます。

お子さんのアカウントで探した結果を、親子で画面を見ながら話すと、「この大学のどこが気になったの?」と具体的な会話がしやすくなります。志望校検索は無料で使えます。表示される入試情報は募集要項をもとにまとめたものなので、出願前には必ず最新の募集要項で確認してください。

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手順4:オープンキャンパスや説明会で確かめる

候補が出たら、実際に見に行きます。親が同行する場合は、見学の主役はお子さんにして、親は費用・奨学金・寮など、本人が聞きにくいことを質問する役に回るとバランスがとれます。帰り道に「一番印象に残ったのはどこ?」と聞いておくと、志望理由書に使える具体的な言葉が残ります。夏のオープンキャンパスは、出願前に見に行ける最後の機会になりやすいので、6月ごろまでに予定を押さえておきましょう。

手順5:期限を決めて、最後は本人が選ぶ

「7月末までに出願校を3〜4校に決める」のように、期限だけは親子で決めておきます。期限までは候補を広めに持ったまま、自己分析や活動の記録を進めておけば問題ありません。最後の1校で迷う場合は、2校まで残して比べ、本人に決めてもらいましょう。

候補が決まったら、志望校ごとの締め切りを家族で共有しておくと安心です。アオマルの「受験スケジュール」では、志望校を登録すると、志望校ごとの「やること」やカレンダーで、出願から合格発表・入学手続までを管理できます。検定料や入学手続の日程も志望校ごとに確認できます。また、お子さんがToDoのリンクを保護者に共有したり、毎週のやることを保護者にメールで通知したりできるので、親が毎日「どこまで進んだ?」と聞かなくても様子がわかります。

志望校が決まったあとに親ができること

志望校が決まったら、親の役割は「志望理由書の読者」「面接練習の相手」「日程と手続きの確認係」の3つに移ります。どれも内容を代わりに考えるのではなく、お子さんが自分で仕上げるのを横から支える関わり方です。

  • 志望理由書の読者になる:書き直しは本人と先生に任せ、親は「読んでわかりにくかったところ」「もっと知りたいと思ったところ」を伝えます
  • 面接練習の相手になる:用意した質問を読み上げる面接官役なら、面接に詳しくなくても務まります
  • 日程と手続きを確認する:出願期間、検定料の支払い、書類の郵送、合格後の入学手続の期限を家族で共有します

また、決めた志望校はあとから変えられないわけではありません。オープンキャンパスや志望理由書の準備を進める中で、「やっぱり別の大学のほうが合う」と気づくこともあります。その場合も頭ごなしに反対せず、理由を聞いたうえで、出願に間に合うかどうかを一緒に確認しましょう。志望校が決まったあとの準備の進め方は、学年別に解説したこちらの記事が参考になります。

▶ 総合型選抜でやるべきこと|高1・高2・高3別にいつから何をするか学期ごとに解説

保護者向けのほかの記事もあわせてどうぞ。

▶ 子どもが「総合型選抜を受けたい」と言ったら|親が最初に確認する5つのこと

▶ 総合型選抜の面接練習で親ができること|家で面接官役をするときの質問リスト

▶ 総合型選抜で合格したら親がやること|入学手続・入学金の期限と一般選抜との関係

志望校が決まらないときのよくある質問

高3の夏になっても志望校が決まらない場合はどうすればいいですか?

まだ間に合います。まず出願条件と日程で受けられる大学を洗い出し、その中から2〜3校に絞って志望理由書の準備を始めましょう。10月以降に出願する大学や、学校推薦型選抜・一般選抜という選択肢もあります。担任や進路指導の先生にも早めに相談してください。

親が志望校を勧めてもいいですか?

候補の一つとして勧めるのはかまいません。「この大学は○○が学べるみたいだよ」と理由を添えて情報を渡し、「どう思う?」と本人の考えを聞きましょう。勧めた大学を選ぶかどうかは、本人に任せることが大切です。

子どもが志望校について話してくれないときは?

質問の回数を減らし、話したくなるタイミングを待つのも一つの方法です。親に話しにくい場合は、担任の先生や塾の先生など第三者に相談しているかを確認するだけでも十分です。ToDoの共有やメール通知のように、聞かなくても進み具合がわかる仕組みをつくると、親子ともに気が楽になります。実際に合格した家庭で親がどう関わったかは、こちらの体験記が参考になります。

▶ 【合格体験記・保護者編】総合型選抜で親は何をした?サポート内容・不安の乗り越え方をリアルに解説

志望校が決まっていなくても、総合型選抜の準備は始められますか?

始められます。自己分析、活動の記録、評定の維持は、どの大学を受けるにしても役立ちます。志望校の決定を待たずに、できることから進めておきましょう。

親子で志望校の意見が合わないときはどうすればいいですか?

まずお互いに「なぜその大学がいいのか」を話し、理由を比べてみてください。費用や通学などの条件の問題なのか、学ぶ内容への考え方の違いなのかを分けると、話し合いが進みやすくなります。それでもまとまらない場合は、三者面談などで先生を交えて話すのがおすすめです。

まとめ:志望校は「決めてあげる」より「選べるように支える」

お子さんの志望校が決まらないときは、焦って大学名を決めるより、決まらない原因を見極めて、本人が選べるように支えることが近道です。この記事のポイントを整理します。

  • 出願校は高3の夏(6〜8月)に3〜4校まで絞れていれば間に合う。高2のうちは分野の方向性で十分
  • 決まらない原因は「やりたいことがわからない」「候補が多い」「条件が不安」「周りに遠慮」の4パターン
  • 質問は「どこに行きたい?」ではなく、好きなことや大学生活のイメージから聞く
  • 「まだ決まってないの?」「○○大学にしなさい」「○○ちゃんは〜」は言い換える
  • 家庭の条件は親が伝え、その中から選ぶのは本人。期限だけは親子で決めておく

志望校の判断軸や受ける校数など、選び方の詳しい手順は「総合型選抜の志望校の選び方・決め方」の記事を、お子さんと一緒に読んでみてください。

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この記事を書いているのは

藤堂誠 ❘ 総合型選抜対策専門塾講師

大学での入試・教育評価に関する知見をもとに、総合型選抜・学校推薦型選抜の対策を監修。志望理由書・小論文・面接において、大学側が重視する「学びへの意欲」「探究の一貫性」「将来像との接続」を踏まえた指導を行う。現在は株式会社mugendAIにて、受験生が自分の経験や関心を大学に伝わる形で整理できるよう、総合型選抜対策コンテンツの監修を担当している。

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